新規技術で世界に挑む、それが開発の醍醐味

間 博顕 フェロー

専門領域:フラッシュメモリ開発

インタビュー

「アイデアを技術として、デバイスに投じ、市場を創る」
新規技術導入で世界に挑み続ける開発リーダーが、技術の粋を結集して生み出したメモリについて語ります

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Q. 専門領域

現在はフェローとして、3次元フラッシュメモリBiCS FLASH™の開発をみています。
フラッシュメモリというのは電気を切っても情報が消えないメモリです。それの微細化をずっとしてきましたが「もう、どうしても小さくできない」。そしたら上に積み上げていけば良い、ということで高層ビルのように上に積み上げるメモリです。それを「3次元フラッシュメモリ」と呼んでいます。

間 博顕フェロー1

Q. 印象に残った仕事

「43ナノメートル」というフラッシュメモリの開発です。
世界に先駆けて、高誘電体膜をフラッシュメモリに採用して量産までこぎ着けたというところがあります。メモリ開発で最先端を走るためには、そういうふうな新規技術というのは不可欠です。その新規技術をいかにちゃんと使いこなせるか、これが非常に重要で、そのためには要所要所できちんとした判断をする、それが大事だということを痛感した次第です。

Q. 製品開発の醍醐味

自分のアイデアを技術としてデバイスに持ち込むことができます。それが外から見える場合もありますし、見えない場合もあります。見えなくてもひそかに自分で「この部分には私の技術が入ってるんだよね」と思い、そういうものが世の中の製品に出ている。それはすごく技術者として楽しい、うれしいことだと思います。

Q. キオクシアの強み

今、フラッシュメモリのメーカーは数々ありますが、フラッシュメモリそのものを発明、また、3次元フラッシュメモリを発明したメーカーはほかにはないです。そのような新規技術を自分たちで開発して取り込めるという雰囲気が、キオクシアの中にはあります。自分で自分のアイデアを製品に盛り込んで、それで、本当に市場に出せる、これは開発技術者としての冥利に尽きると思います。

Q. 10年後の世界への貢献

間 博顕フェロー2

大容量・低価格のメモリを世の中にいち早く出す、これが私たちの使命だと思っています。
フラッシュメモリというのは1ビットあたり、 セル面積というものがありますが、それが今までの間に4桁ぐらい小さくなっています。4桁ぐらい小さくなっているというデバイスは、世の中にはまだほかにはないです。4桁ぐらい小さくなって、価格も4桁ぐらい小さくなっているので、今、 皆さんが手軽にフラッシュメモリでいろんな情報を持ち込むことができるようになっています。
今後もこのように技術で、フラッシュメモリを微細化する大容量化・低コスト化という技術で、社会に貢献できればと思っています。

プロフィール

間 博顕 (はざま ひろあき)  メモリ事業部 フェロー

略歴

  • 1985年 大阪大学大学院工学研究科電子工学専攻 終了(修士)
  • 1985年 株式会社東芝入社 総合研究所ULSI研究所配属
  • 2007年 同社 先端メモリ開発センター先端メモリデバイス開発部 グループ長
  • 2008年 同社 先端メモリ開発センター先端メモリデバイス開発部長
  • 2011年 同社 メモリ事業部 ファイルメモリ・デバイス技術部 メモリデバイス開発主幹
  • 2017年 東芝メモリ株式会社 メモリ事業部 技監
  • 2019年 キオクシア株式会社 メモリ事業部 フェロー

専門領域

フラッシュメモリ開発

  • 1994年~2002年 メモリセルの信頼性劣化メカニズム解明および高信頼性セルの開発
  • 2002年~2007年 90nm、70nm、56nm、43nmのNAND型フラッシュメモリの開発を牽引
  • 2007年~2011年 56nm、43nm、32nm、24nm、19nmのNAND型フラッシュメモリの開発を牽引

受賞歴

  • 1995年3月 IEEE International Conference on Microelectronics Test Structures Best Paper Award
  • 掲載している内容と部門名・役職名はインタビュー当時の情報です(2021年6月)

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