シミュレーションで起こす、モノづくりの革新

青木 伸俊 フェロー

専門領域:TCADシミュレーション

インタビュー

「計算科学シミュレーションによるモノづくりの革新」
半導体分野におけるデジタルツインの創造が、社会に新たな価値や面白さを提供します

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Q. 専門領域

半導体デバイスの製造工程や電気的な特性をコンピュータでシミュレーションする技術を開発しています。最先端のメモリデバイスの研究開発に活用されているこの技術はTCAD、 テクノロジーCADと呼ばれています。
半導体メモリは、高集積化のため複雑な素子構造や新たな動作原理の研究も進められています。
BiCS FLASH™は構造が複雑です。そこで、 半導体シミュレーションによる解析が必須となっております。
シミュレーションの場合ですと、実験しなくても計算で結果が予測できる、そういう実験の現実の世界とシミュレーションのサイバー空間がうまく連携することによる相乗効果、それがデジタルツインであると思いますが、その中でのシミュレーション技術の活用が非常に重要だと思っています。

青木 伸俊フェロー1

Q. キオクシアの強み

当社は、プロセス技術やデバイス技術、回路やシステム設計技術などの分野の個々の技術者が高い技術力を持っています。これらの専門家同士の協調と相互理解によってさらに大きな力となっていると思います。TCAD技術者も他の技術分野の専門家と緊密に連携して研究開発を進めております。
自分の専門分野と違う角度からものを見られたり、あるいは、自分の専門の技術をどういうふうに活かすことができるのか、その活かし方によって新たな課題が発生するということがありますので、そういう意味で違う技術分野の方と議論をして連携を深めていくというのは非常に重要だと思っております。

Q. 10年後の世界への貢献

青木 伸俊フェロー2

計算科学シミュレーションは現象を理解し、説明するためのツールから新たな材料の物性や機能などを予測可能なツールへと進化を遂げています。これらの計算科学シミュレーションを駆使したモノづくりの革新がさまざまな産業分野で起きています。
キオクシアは、最先端のTCADや計算科学シミュレーション技術を活用した半導体の開発を通じて、デジタル信号としての記録と人やモノ、時間を結び付けることで、新たな価値や面白さを生み出す世界の実現に向けて研究開発を進めています。

プロフィール

青木 伸俊 (あおき のぶとし)  メモリ技術研究所 フェロー

略歴

  • 1990年 慶応義塾大学大学院理工学研究科物理学専攻修了(博士)
  • 1990年 株式会社東芝入社 ULSI研究所に配属
  • 2015年 同社 半導体研究開発センター 技監
  • 2021年 キオクシア株式会社 デバイス技術研究開発センター フェロー

専門領域

TCADシミュレーション

  • 1990年~2008年 TCAD技術開発及び高精度化技術開発
  • 2009年~2014年 3次元TCADシステムの開発を牽引
  • 2015年~2021年 TCAD技術及び計算化学技術の開発を牽引

講師

  • 2004年~2016年 東北大学未来科学技術共同研究センター 客員准教授
  • 2016年 慶応義塾大学 理工学部 非常勤講師
  • 2020年 慶応義塾大学 理工学部 非常勤講師

受賞歴

  • 2009年(公社)応用物理学会 ADMETA Award2009受賞

社外団体役員等

  • 2008年 (公社)応用物理学会シリコンテクノロジー分科会 幹事(2021年現在)
  • 2018年 日本学術会議 総合工学委員会・機械工学委員会合同計算科学シミュレーションと工学設計分科会 計算科学を基盤とした産業競争力強化の検討小委員会 委員(2021年現在)
  • 掲載している内容と部門名・役職名はインタビュー当時の情報です(2021年6月)

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