磨きぬいた技術で、メモリシステムに変革を

大脇 幸人 フェロー

専門領域:メモリシステム

インタビュー

「今の技術や流行が永遠に続くことは絶対にない」
進化を続けるコンピューティングの世界において、市場で勝ち抜くメモリシステムの変革を語ります

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Q. 専門領域

フェローとしてメモリシステムの仕事をしています。
キオクシアはメモリの会社です。しかし、 メモリチップだけでは使えません。メモリをコントロールするコントローラのハードやソフトを開発し、メモリチップと一体化して、スマートフォン用やSSDとして製品化しています。
今後コンピューティングとメモリの結合がさらに進展しますし、DRAMやフラッシュ以外の新しいメモリも出てきます。そうした次世代、次々世代のメモリシステムの研究開発を行っています。

大脇 幸人フェロー1

Q. 更なる成長のために

大脇 幸人フェロー2

メモリやストレージは巨大な市場があることは確実です。そこでどう戦うかは各社各様、 勝ち方もさまざまです。人を育てることが重要です。また人もさまざまです。その人の伸ばし方もさまざまです。言えることは、 技術も進化しますし、市場も変わっていきます。
例えば、 今はやりの機械学習においてキオクシアで活躍している人で、入社したときに機械学習をやっていた人は少数です。画像をやっていたり、応用数学や統計をやっていたり。
大切なことは、 研究開発の各自が今やっていることに集中して深掘りし、 研究開発のやり方やベンチマークのやり方を磨くことだと思います。入社した時の技術や流行が永遠に続くことは絶対にありません。

Q. 10年後の世界への貢献

AIや機械学習を筆頭にどんどん扱うデータ量が増えています。
10年後を考えると、これから毎年1年間に生み出されるデータは年率25%以上伸び続け、特に、 5G通信の伸展やAIの進化に伴いリアルタイムで処理されるデータは年率35%以上伸びていくと予想されています。こうした膨大なデータの有効な活用には、記憶・処理・検索・追跡・消去などさまざまなことが必要となっていきます。
コンピューティングとメモリやストレージが離れているとデータのやり取りに時間やエネルギーがかかり、非常に非効率になります。そのため、データ処理をメモリの近くあるいはメモリの中で行うニアメモリやインメモリといわれるコンピューティングが進展することは確実です。そこでの勝ち方も各様、キオクシアのメモリは必ずそこで使用されます。
それを実現するメモリシステムの変革。これを提供することがキオクシアの未来への貢献になると思います。

プロフィール

大脇 幸人(おおわき ゆきひと) メモリ技術研究所 フェロー

略歴

  • 1983年 東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻 修了(修士)
  • 1983年 株式会社東芝入社 総合研究所に配属
  • 1991年~1993年 ケンブリッジ大学留学
  • 2001年 同社 先端メモリ開発センター 先端メモリ開発第一担当グループ長
  • 2002年 同社 SoC研究開発センター 新規メモリ設計技術開発部長
  • 2005年 同社 同 モバイル&コミュニケーションSoC技術開発部長
  • 2006年 同社 システムLSI第一事業部 システムLSI設計技術部長
  • 2007年 同社 システムLSI事業部 マルチメディアSoC設計技術部長
  • 2011年 同社 半導体研究開発センター メモリシステム開発部長
  • 2014年 同社 半導体研究開発センター 技監
  • 2017年 東芝メモリ株式会社(現キオクシア株式会社) システム研究開発センター長
  • 2019年 同社 メモリ技術研究所 技監
  • 2020年 同社 メモリ技術研究所 フェロー

専門領域

メモリシステム

  • 1983年~1998年 DRAM、システムLSIの半導体回路設計及びデバイスの研究開発
  • 1999年~2002年 強誘電体メモリの開発を牽引
  • 2005年~2011年 マルチメディア向けシステムLSIの開発を牽引

受賞歴

  • 1998年 関東地方発明表彰 発明奨励賞

社外団体役員等

  • IEEE Journal of Solid-State Circuits JSSC Associate editor (2001-2006)
  • ISSCC Technical Program Committee (1997-2007)
  • Japan IEEE SSCS Secretary (2005-2008)
  • 掲載している内容と部門名・役職名はインタビュー当時の情報です(2021年6月)

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