白いキャンバスに描く、10年後のデバイスと未来

西山 彰 フェロー

専門領域:デバイス・プロセス

インタビュー

「自分の技術が世の中に出る、そして皆さんの役にたつ。」
企業で基礎研究を行う面白さ、半導体デバイス、プロセスを通じた社会への貢献を語ります

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Q. 専門領域

フェローとしてデバイス、 プロセス分野の基礎研究の促進を業務としています。
フラッシュメモリというものはその中に小さな一つひとつのメモリ素子があります。その素子をどういうふうにデザインするか、それが「デバイス」という分野になります。そして、 その設計デザインされた素子をどういうふうに作るか、それが「プロセス」の分野になります。

西山 彰フェロー1

Q. 印象に残った仕事

いろいろな研究開発をやってきましたが、「High-k」これは高誘電体というものですが、それをゲート絶縁膜として用いたMOSトランジスタの技術の開発が最も印象深いものでした。
高速CMOS用の技術として材料的にも大きな変革を伴うものでしたので、私はその中で研究開発センター側のリーダーとして開発に参画をしていました。開発が一気に進んだ時となかなか停滞してしまったとき、いろんなフェーズがあったように思います。
新材料ということで実験ロットを流す、これは結構大変でして、それを克服して、2002年に初めて100ナノメートルレベルのHigh-kのMOSトランジスターが動作したときには皆で喜びあったことを覚えています。

Q. 企業の研究者として

企業の研究者というのは自分のやっていた技術が世の中に出る、それで皆さんの役に立つ、そこが一番なんですよね。

Q. 10年後の世界への貢献

西山 彰フェロー2

例えば10年後という世界をイメージして、その時に必要な物というところから新しいデバイスを考える。ゼロからって言うか本当に最初からそういうことをやれる自由、そういうところが一番面白いところだと思いますね。
白いキャンバスと言えるかどうか分からないですが、例えば、 カーボンフリーというのが今出ていますが、もっと緑豊かな持続性のある社会というのがもっと先に必要なんだと。じゃあ、 その時にどういうデバイス、記憶のデバイスがあったらそういうところに貢献できるのかな。あるいは、 それをどういうふうに作れば、そういうことに貢献できるんだろうかと、作り方まで含めて、 色んなことを考える。
そういうところが楽しいと言うか、やりがいのあるところじゃないかなというふうに思いますね。

プロフィール

西山 彰(にしやま あきら) メモリ技術研究所 フェロー

略歴

  • 1985年 東京工業大学大学院総合理工学研究科電子システム専攻 修了(修士)
  • 1985年 株式会社東芝入社 総合研究所に配属
  • 1993年~1994年 オランダ FOM-AMOLF 研究所 客員研究員
  • 1998年 早稲田大学 博士(工学)学位取得
  • 2006年 同社 研究開発センター LSI基盤技術ラボラトリー 室長
  • 2009年 同社 研究開発センター 次長
  • 2012年 同社 研究開発センター 技監
  • 2014年 同社 研究開発センター 首席技監
  • 2018年 東芝メモリ株式会社 メモリ技術研究所 技監
  • 2019年 同社 メモリ技術研究所 フェロー

専門領域

デバイス・プロセス

MOSトランジスタの高速化・低消費電力化の研究開発

  • 1985年~1993年 MOSトランジスタ高速化のためのソース/ドレイン低抵抗化技術の研究開発
  • 1994年~1996年 ソース/ドレイン半導体ヘテロ接合形成によるSOI(Silicon On Insulator) MOSトランジスタ寄生効果抑制技術の研究開発
  • 1996年~1999年 基板欠陥評価技術、50nm CMOS等の研究開発
  • 1999年~2006年 MOSトランジスタ低消費電力化のための高誘電体ゲート絶縁膜/金属ゲート電極技術の研究開発
  • 2006年~2009年 不揮発メモリ、高速低消費電力MOSトランジスタ、先端TCAD、先端半導体分析等の基盤技術研究開発を牽引
  • 2009年~2017年 不揮発メモリ、高速低消費電力MOSトランジスタ、新型FPGA、先端TCAD、先端半導体分析、HDDデバイス、光ディスク、センサー、極微細加工用リソ等の基盤技術研究開発を統括

講師

  • 2000年~2007年 武蔵工業大学(現東京都市大学) 非常勤講師
  • 2009年~2015年 東京工業大学大学院総合理工学研究科 連携教授
  • 2018年 名古屋大学 工学部 電気電子情報工学科 非常勤講師(2021年現在)
  • 2019年 九州大学 グローバルイノベーションセンター 客員教授(2021年現在)

受賞歴

  • 2010年9月 (公社)応用物理学会 フェロー表彰受賞

社外団体役員等

  • (公社)応用物理学会 理事(2013年~2015年)
  • (公社)応用物理学会 副会長(2017年~2019年)
  • IEEE Electron Device Society, Technical Committee member (2014-2017)
  • IEEE Electron Device Society Japan Joint Chapter Chair(2018-2020)
  • 掲載している内容と部門名・役職名はインタビュー当時の情報です(2021年6月)

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